第141回つくばコンサート長身で細身のボストリッジだが、ピアノの前の空間を舞台に、 身振り手振りを交えながら、若者の失恋を物語る。 その声はまったく自在に出ていて破綻がない。 曲間の休みはほとんどなく、区切れない物語として歌が進む。
シューベルト：美しき水車小屋の娘
イアン・ボストリッジ(T)、ジュリアス・ドレイク(p)
(ノバホール)
ボストリッジは喉の調子が悪いようなのだ。その、 短い曲間や、休止の間に咳をしたり、水を飲んだりしている。 見ているほうとしては、歌の最中に咳き込むのでは、と気が気ではない。
だが、流石に世界注目のテノール歌手。 恋人とうまく行ってるときの昂揚も、裏切られた怒りも、 失意の死も、歌いおおせて終わる。アンコールはなかったが、 それは仕方ないでしょう。
すばらしいリサイタルだったが、聴衆としては歌手の喉が心配で浸りきれなかった難点はあった。
お大事にいい。